カッチーニのアヴェ・マリア
こんにちは。
飯田市上郷にある、うたとピアノの音楽教室アリアです♪
次はどの曲を演奏しようか、とお客さまの層や希望や背景や時季、流行りや組み合わせなどいろいろと思いを巡らせながら決めていく選曲は、毎度悩ましく楽しいひとときです。
最近はインターネットにも情報が溢れていて、自宅にいながら音源や楽譜が手に入るのでありがたいですね。わたしは曲の雰囲気を知るほかに、おおよその演奏時間を知るために、ネット音源を大いに活用します。
先日も『アヴェ・マリア』の演奏時間を知りたくて、いろいろな演奏動画を視聴していました。
アヴェ・マリアはシューベルト、バッハ=グノーなど多くの作曲家が曲をつけているカトリックの有名な祈祷文ですが(南無阿弥陀仏に匹敵する!とわたしは思っています)、長年キリスト教会でお仕事をいただいていたので、わたし自身のレパートリーにもアヴェ・マリアがたくさんあります。これまで幾度となく演奏してきた曲たちではありますが、ミサでは進行状況を見ながらテンポを調節したり繰り返しを入れたり端折ったり、ということを臨機応変にするので、演奏時間を気にする必要がなかったのです。
(余談ですが司祭さまの所作と曲の終わりがぴったりになるととっても快感です・笑)
そんなわけで『アヴェ・マリア』をプログラムに入れたいけど、どの曲にするかは時間で決めよう…なんて思いながら、動画を視聴していたところ、Vavilov(ヴァヴィロフ)という知らない作曲家の『アヴェ・マリア』を発見!しかも、結構な数の動画が上がっています。
これはじっくり聴いてみなくては、と視聴を開始しました。
あれ?
知ってる曲だ。これって…
そう、シューベルトやバッハ=グノーと並んでカッチーニの『アヴェ・マリア』として歌われてきた美しい曲です。
カッチーニという人は一般的にはあまり知られていませんが、声楽を勉強する人が必ず通る『イタリア(古典)歌曲集』1巻の最初に載っている『アマリッリ』の作者です。
何しろ古い時代のことなので、このイタリア歌曲集ひとつ取っても、私たちの学生時代はxxさんの作曲だったのに実は〇〇さん作と判明したから新版では訂正されてました〜なんてことが結構あって…
どうやらこの曲についても、情報アップデートが行われたようです。
で、ヴァヴィロフさんについて調べてみると、なんと没年1973という最近のお方。
ご本人はリュート奏者だったそうですが、作曲家としての自分には全く自信がなく、生前に発表した自作曲をほぼ全て過去の作曲家の未発見のものとして発表していたのだとか。
そう言われてみるとこの曲を初めて知った学生時、こんなロマンティックな曲をあの時代に作るなんてすごいなカッチーニ!と思った記憶が(笑)
もっとも、イタリア歌曲集もロマン派時代に纏めてピアノ伴奏をつけて編纂したものなので、違和感など覚えるはずもなく今日まで信じておりました。
情報アップデートって大切ですね。
ヴァヴィロフさんが他人の名前で世に送り出した曲たちの中で、アヴェ・マリアの他にも今日まで根強い人気を誇る曲がいくつかあるそう。晩年は困窮のうちに世を去ったそうですが、もう少し自信家だったら違う人生もあったかもしれません。
この曲を歌うときは、ちょっぴりシャイなヴァヴィロフさんに思いを馳せよう、と思ったのでした。
音楽教室アリア
飯田市上郷
https://aria-music.localinfo.jp
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